新品価格で3万円くらいから7万円くらいの中でも幅広いラインナップを誇るYAMAHA(ヤマハ)のギターPACIFICA(パシフィカ)。
しかしながら、パッと見は同じ形をしているのに、何でモノによって価格が異なるのか?
「1番安い112でも充分。」
「612のほうがコストパフォーマンスが良い」
「高いモデルのほうが良いのは当たり前でしょ?」
等々、色々な情報が出ていますが、実際のところはどうなのか!?
というわけで今回は我が家にある2本のが異なる「YAMAHA PACIFICA」を、細部や普段見る事のない部分までチェック・比較してみました!
今回は筆者の所有している1番安いパシフィカ「YAMAHA PACIFICA 112V」と1番高い「YAMAHA PACIFICA612VⅡFM」を比較していきます。
どちらを購入しようか悩んでる方や、どう違うのか気になった方のお役に立てば幸いです。
早速、見ていきましょう。
1番安いパシフィカ『YAMAHA PACIFICA 112V』
お手頃な価格でしっかりとしたクオリティーで大評判の「YAMAHA PACIFICA 112V」。
「パシフィカ」の中では、最もお手頃なモデルです。
ソフトケース付属で税込3万円台と超・お手頃な価格ですが、実際どのくらいしっかり作ってあるのか!?
上記の記事で細かな部分を記載してますが、気になる方も多いと思いますので、高いモデルとの比較をしていきます。
現行で最も高いパシフィカ『YAMAHA PACIFICA612VⅡFM』
「多用途性、パフォーマンス、個性、カスタム・ショップ・ギターとそのオリジナル・ビジョンにインスパイアされたPacifica 600シリーズ」と触れ込みのある最も高いパシフィカがこちら。
こちらも上記の記事で細かな部分を記載してますが、気になる方も多いと思いますので、安いいモデルとの比較をしていきます。
見た目の違いと共通点・仕様など
上記の画像が1番安い『YAMAHA PACIFICA 112V』と1番高い『YAMAHA PACIFICA612VⅡFM』です。
見た目の違いについて細かい部分については後ほど記載して行きますが、パッと見はギターに触ってない方からしたら色の違いくらいしか目につかないかも知れません。
もう、そうなったら気に入ったの色で購入するのも全然アリだと思います!
下記からは仕様を見ていきたいと思います。
パシフィカ612・112の仕様
PACIFICA612 | PACIFICA112V | ||||
主な仕様 | |||||
ボディ | フレイムメイプル+アルダー | アルダー | |||
ネック | メイプル | メイプル | |||
ボディ/ネック構造 | ボルトオン | ボルトオン | |||
ネックフィニッシュ | グロスポリウレタン | サテンポリウレタン | |||
指板 | ローズウッド | ローズウッド | |||
指板アール | 350R | 350R | |||
ナット素材/幅 | GraphTech TUSQ/41mm | ユリア/41mm | |||
フレット数/サイズ | 22/ミディアムフレット | 22/ミディアムフレット | |||
ブリッジ | Wilkinson VS50-6 | ビンテージタイプ(ブロックサドル) | |||
弦間ピッチ | 10.8mm | 10.5mm | |||
弦 | D’Addario EXL120 | D’Addario EXL120 | |||
スケール | 648mm | 648mm | |||
ピックアップ | セイモアダンカンSSL-1,セイモアダンカンSSL-1RwRp,セイモアダンカン Custom5 | シングル(アルニコV)×2、ハムバッキング(アルニコV)×1 | |||
ピックアップスイッチ | 5P セレクタースイッチ | 5P セレクタースイッチ | |||
コントロール | マスターボリューム、マスタートーン(+コイルタップスイッチ) | マスターボリューム、マスタートーン(+コイルタップスイッチ) | |||
ペグ | Grover ロッキングチューナー | ダイキャスト |
パッと見は分かりにくいと思うので、後ほど共通点も記載します。
安いパシフィカ、高いパシフィカの価格
参考としてAmazonの価格になりますが、
2023/11/28時点での価格では高い方のパシフィカ612が¥69,300。
安い方のパシフィカが¥31,100となっています。
価格差は¥38,200です。
(なおAmazonではボディカラーによっても若干価格が変わることがあります。)
612は細かいパーツだけでも、個別に購入すると、ざっと5万円くらいするので、お得といえばお得です!
共通点
次に612と112の両方に共通する点です。
指板ですが、112Vにはメイプル指板の仕様がありますが、612にはありません。
インドネシア産のメリット・デメリット
ギターといえばMADE IN USAのイメージが強いですが、YAMAHAのギターは現在、パシフィカを含めて全て自社のインドネシア工場で生産されています。
その他、同じ様な価格帯のものと比較してもコストパフォーマンスの優れた製品作りが可能になってると考えられます。
USA産のギターの良さ、日本産のギターの良さは受け入れられていますが、人によっては中国産、韓国産、インドネシア産を嫌う方もいます。実際、他のメーカーさんで粗悪品があるので、その様なイメージが強くなってしまうのは致し方ないのですが、個人的にはYAMAHAのギターは日本製のギターに近い印象を持ちます。
※あくまで近いという印象です。
特にインドネシアだからと言って悪いということはありませんが、Fenderやギブソンのギターとは違うことは間違いありません。
長くなりましたが、下記からは相違点を記載して行きます。
ヘッド
ギターの上から順番に記載していきます。
まずはヘッド、結構見た目も違いますが、細かい部分を見ていきます。
ヘッドの色
選択する色によりますが、筆者のものはフレイムメイプルというものが貼られています。
着色されているものもありますが、色によって仕様が異なります。
612はこの様に色がありますが、112は画像の通りメイプルの木肌そのままになります。
ストリングガイドが2つor1つ
公式でもあまり触れてないですか、PACIFICA612はストリングガイドが2つになっています。チューニングの安定性や弦のテンションが少し変わります。
一方、PACIFICA 112Vは1点で、スタンダードな仕様になってます。
自分は2点のほうが扱いやすい気がしますが、微々たる差です。
ペグの違い
PACIFICA612は上記のGrover製のLockingチューナーになっています。
素早い弦交換と、弦の滑りを抑えることでピッチの安定性が高いです。
この様に弦を挟み込んで、ロックしてくれます。かなり弦交換が楽になりますよ。
一方、PACIFICA 112Vはスタンダードなロトマチックペグです。
612についているGroverのペグはあとから買うと1万円くらいするので、ロックペグにするつもりなら最初から付属されている612のほうが良いと思います。
ナットの違い
PACIFICA612にはGraph Tech社製 Black TUSQナットが付いています。
弦の振動をネックに連動させ、豊かな倍音を引き出します。
見た目の違いはあまりないですが、112はユリアという尿素樹脂になります。
安価な割に溝も高さも適正で全然、悪くないですが、比較すると少々柔らかいです。
こちらもペグ同様あとから変えるつもりだと費用と手間がかかります。
ローズウッド指板とメイプルとフレット
両方も指板のカーブは350Rというこことでほぼ見た目は平らに見えますが、製造年月が違うことや、使い込みや、個体差はありますが、PACIFICA612とPACIFICA112では木材の選定が若干違う気がします。
(この差を大きく感じるか、小さく感じるかは人それぞれだと思います。)
諸説ありますが、両方ともちゃんとしたローズウッドでフレットも同じミディアムジャンボ、自分としてはフレットエンドの処理も同じくらいに感じます。
メイプル材も両方とも木目が穏やかな比較的に剃りにくそうな材が使われてそうです。
若干、112のほうが粗があるような感じがしますが、この価格対としてはかなり優秀なのではないでしょうか。
自分の持ってる個体としては、重さは612のほうが軽く握った感じは612のほうがしっくりときます。
とはいえ112でも全然、良いです。
ネックジョイント
PACIFICA612にはYAMAHAのロゴが刻印されています。
PACIFICA112は無地のプレートです。
ネックジョイント部分などに違いは見られませんでしたが、プレートは叩いてみると響きが違ったので違う材質のものが使われている様です。
612のほうが響く感じはしました。
ピックアップ
下記からはピックアップ周りを比較していきます。
シングルコイル
ピックアップですが、まずはシングルコイルの部分からPACIFICA612はSeymour DuncanのSSL-1です。
ポールピースの高さに変化が加えらており、ビンテージ系のサウンドです。
低音までハッキリとしていて気持ちの良い音ですが、自分みたいなヘタクソだと粗が出ます。
フラッシュで見にくいですが、ボディ側はシールディングありで、ピックガードにはシールディングは見えませんがセレクター付近はシールディングされているようです。
PACIFICA112はポールピースはフラットです。SSL-1より良く言うと「素直な音」、悪く言うと「特徴のない音」です。
ただ、この価格では珍しいSSL-1同様のアルニコ5です。他の安いギターと比較すると良いピックアップだと思います。
ピックガード裏には612同様シールディングはないです。
ハムバッカー
続いてハムバッカー、PACIFICA612はSeymour DuncanのCustom5です。
カバー付きのタイプで少し高級感があり、サウンドもバランスが良くバランスの良いサウンドです。
エスカッションは光沢のないマットで上質なものがついてます。
ハムバッカー内部はこの様にシングルコイル側同様、シールディングされています。
PACIFICA112はカバーなしのホワイト。こちらもハムバッカーサウンドでシングルコイルコイル同様の素直さが目立ちます。
上記は以前、改造したPACIFICA212のピックアップなのですが同じものが付いています。
G&Bという韓国製ピックアップの様ですが、PRS SEシリーズにも載っているピックアップなので、YAMAHAのコストパフォーマンスとサウンドに対するこだわりを感じます。
やはりSeymour Duncanピックアップのほうが低音は出る印象ですし、Custom5は綺羅びやかさも感じますが、112のピックアップも悪くはないです。
トレモロユニット
PACIFICA612はWilkinson VS-50が載っています。サドルが特徴的で弦を滑らかに支えてくれている感じがします。
インナーブロックは標準的なサイズでブリッジ側も合わせて、弦を良く伝えてくれている感じがします。
PACIFICA112は唯一ここが残念といって良いくらい安ギターで見慣れたトレモロユニットが載っています。
インナーブロックは薄く、コストカットのためこれになった感が強いです。
とはいえ、使えないわけでもなく、欲を言えばもっとサスティーンが伸びそうなブロックとサドルなどだと良いとは思ってしまいます。
ボディ・配線など
こちらではボディ周りを見ていきます。PACIFICA612はスイッチ類、ピックアップ付近に導電塗料が塗られています。(ピックアップの部分と重複してます。)
このおかげが112と比較してシングルコイルでもだいぶノイズが抑えられています。
基本的にピックアップ以外の配線パーツは112と違いはないように見えました。
PACIFICA112は導電塗料が塗布されていないです。
Fenderでも日本製は導電塗料が塗られていないケースが多いため、好みによるかとは思いますが、あとから手を付けるのはかなり面倒なので、筆者は塗布されているほうが良いとは思います。
導電塗料が塗られているとハイ落ち(高音が落ちる)と言われてますが612はその様には感じません。
ジャック周り
ジャック周りはPACIFICA612は金属になっており、高級感を演出しています。
PACIFICA112は黒色なっています。マッチしてますが、ここだけ黒なのはなぞです。
ジャック自体は同じものが使われています。
音の違い
筆者の主観ではありますが、生音は612のほうが良いです。
アンプを通した音としては、自分は112だとゲイン(歪み)を加えていくと、ノイズが少々気になります。導電塗料などのシールディングが効いているのか612はあまり気になりません。
(112でも許容範囲ではあると思うので、不具合となるレベルではないと思います。)
612は低音までハッキリとでて、使ってて楽しい音で112は素直で練習には充分という感じです。
とはいえ112でもライブなどで使用している方もいらっしゃいますし、無理して612を買う必要もないとは思いますが、長く続けて行くつもりなら612のほうが不満は感じにくいかも知れません。
まとめ
いかがでしょうか、細かい部分も改めて比較してみました。
比較して自分が感じている結論としては
その様なところでしょうか。
他にも皆様がお気づきになった点や、気になる部分をコメント頂けましたら追記していきたいと考えています。
以上、安いパシフィカと高いパシフィカ、結局どの辺が違うのか!?【PAC612とPAC112を比較。細部や普段見る事のない内部まで分解してチェック】でした。
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